断熱塗料の効果や遮熱塗料との違いについて解説

室内環境を快適に保つ「断熱塗料」とは

省エネや快適な室内環境への関心が高まったことで「断熱塗料」での塗装を検討したりおすすめされる方が増えています。

特に近年は酷暑といわれるほど夏の気温が危険なくらいに高いことや、夏でなくても季節外れの高温日になることも少なくないためニーズが高まってきています。本記事では断熱塗料について効果や名前を混同しやすい「遮熱塗料」との違いなどを解説していきます。

断熱塗料とは、熱伝導を抑えることができる塗料のことです。断熱材のように室外と室内の熱移動を抑制することによって、夏場は外の熱を室内に伝わりにくくし、冬場は室内の暖かい熱を外に逃がしにくくする効果があります。

この特性により、断熱塗料は一年を通して室内温度を快適に保つことができ、エアコンなどの空調設備の効率を高めることが可能です。

断熱塗料が熱を伝えにくくする仕組み

断熱塗料3つの機能

そもそも私たちが太陽光から熱を感じるのは赤外線によるものです。つまり、住宅内部の暑さを抑えるためには赤外線による熱をどれだけ伝えないようにするかがポイントです。

断熱塗料には「中空ビーズ」という素材が使用されており、この素材によって赤外線からの熱を伝えにくくするための機能を実現しています。

中空ビーズとは内部に空気層(中空層)を持つ多孔質セラミック素材です。NASAがスペースシャトルを打ち上げの際に大気圏の熱を断熱するために応用した素材でもあり、その断熱性能やセラミックの反射性能に着目して断熱性の高い塗料の開発に使用されました。

この素材を塗料として使用することで以下のような効果が得られます。

  1. 塗料が赤外線を反射し塗装面そのものの温度上昇を減少させる
  2. 塗料内のビーズ内に侵入した赤外線が反射と屈折を繰り返すこと(プリズム効果)で熱のエネルギー量を減少させる
  3. ビーズが空気層を持つことで熱伝導率が悪くなる

まずは太陽光の反射によって屋根や外壁が受ける熱そのものを軽減します。それでも伝わってくる熱はあるので、そこで塗料内部に含まれる中空ビーズの効果によって熱が住宅内に伝わるまでのスピードを減少させます。この2段階の機能によって住宅内の暑さを軽減してくれるのです。

熱の伝わり方が遅くなれば、熱が屋根から屋根裏、そして住居スペースである1~2階に到達する頃には熱がある程度弱まっていますので、夏も必要以上に冷房を稼働させずに済み、冷房代を節約できます。

また、断熱塗料の断熱効果は夏だけではなく冬にも役立つのが嬉しい点です。冬は基本的に暖房などで室内のほうが外より暑くなるため、熱は屋内から屋外に逃げていきます。しかし、断熱塗料には熱を伝わりにくくする働きがあるため、冬は逆に部屋を保温する機能として作用し、暖かさを保つことができるのです。冷房代のみならず暖房代の節約にも役立ちますね。

遮熱塗料の特徴と断熱塗料との違い

断熱塗料と似た名前の塗料に「遮熱塗料」があります。これらの塗料は名前が似ているため混同されがちなのですが、実は機能や効果には大きな違いがあるため注意が必要です。

遮熱塗料とは、熱を反射する性質を持つ塗料です。太陽光、特に私たちが熱を感じる赤外線を効率よく反射する機能を持ち、屋根や外壁の表面温度の上昇を防ぎます。屋根や外壁が持つ熱が住宅内部に伝わってくるため、結果として室内の温度上昇を抑えるというメカニズムですね。

断熱塗料との明確な違いは、遮熱塗料は「熱を反射する機能に特化した塗料」であるという点です。断熱塗料にも熱を反射する機能はありますが、断熱塗料のように熱の伝導率を悪くするような機能は備わっていません。

逆に考えると、機能面でいえば断熱塗料は遮熱塗料より断熱機能に関して、より高機能の塗料といえるでしょう。

各塗料の特徴

断熱機能の違いを把握したうえで最適な塗料を選択しよう

断熱塗料と遮熱塗料、どちらを選択したほうが良いのかについては、あなたが住宅の断熱にどこまで求めるかを考えて決めるのがわかりやすいです。

もし夏の暑さ対策だけでなく、冬の寒さ対策も必要だと考えているのであれば断熱塗料を選びましょう。前述したように、断熱塗料がもつ熱を伝えにくくする性質は冬になると住宅内部の暖かさを保つ機能となるからです。

夏の暑さ対策だけで問題ないのであれば遮熱塗料で対応可能です。断熱塗料は遮熱塗料よりも基本的に価格が高くなりますので、コスト面から考えても遮熱塗料のほうが経済的といえるでしょう。

外壁や屋根の塗装はある程度費用のかかる工事ですので、事前に塗料の断熱機能の違いや自分が求めるものを把握していくことは失敗を防ぐために重要なポイントです。業者ともしっかり相談し、適切な塗料選びで快適な居住環境と省エネルギーを実現しましょう。

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