屋上防水工事の種類と価格目安について解説

屋上防水工事が重要な理由

屋上防水とは、建物の屋上からの雨漏りを防ぐための工事のことです。基本的に屋上がある場合は屋根が平らになっている、いわゆる「陸屋根」という形状になっています。日本で一般的な屋根である切妻屋根や寄棟屋根のように勾配がある屋根ではないため、掃除などのメンテナンスが容易である一方で、排水性が悪いという特徴があります。

屋上防水工事が重要な理由は、屋上が上空から降ってくる雨や雪を真っ先に受け止める場所にもかかわらず雨水を溜めやすい構造であるため、防水性能がそのまま雨漏りや建物全体の劣化に直結してしまう場所だからです。

防水層が劣化もしくは機能していないと屋上に溜まった雨水が内部に侵入し、屋根の雨漏りを引き起こします。いわば屋上は建物を雨や雪から守る「傘」のようなものです。穴が開いた傘を差してもずぶ濡れになってしまうように、屋上から雨水の侵入を許してしまうとその下にある木材や鉄筋の劣化や天井や壁のシミ・雨漏りなど建物全体にわたって悪影響を及ぼします。

特に雨漏りが発生してしまった後だと修繕工事にかかるコストも多くかかりますし、加えて家具や家電、床など様々な箇所に修理や買い替えなどが発生する可能性もあります。だからこそ、建物を守り長持ちさせるためには、定期的に屋上防水工事を行っておくことは非常に重要な事項なのです。

屋上防水工事の種類と価格目安

屋上防水工事を行う場合、代表的な選択肢としては4種類あります。

  • ウレタン防水
  • シート防水
  • アスファルト防水
  • FRP防水

それぞれの特徴やメリット・デメリット、価格の目安を以下より解説します。

■ウレタン防水
ウレタン防水は、液体のウレタン樹脂を屋上に塗って防水層を作る工法です。塗装なので複雑な形の屋上でも隅々まできれいに塗ることが可能で建物への負担も少ないのが強みです。ただ、塗装による工事なので職人の腕によって出来にムラができてしまう可能性があるのはデメリットといえるでしょう。

耐用年数は10〜15年ほどで価格目安は1㎡あたり5,000〜7,000円前後。場所を選ばぬ万能性でコストも控えめなため、定期的なメンテナンスを前提に考えると万能かつコスパの高い工法ともいえます。

■シート防水
シート防水は、合成樹脂や合成ゴムでできた防水シートを貼り付けたり、機械で固定したりする工法です。塗装ではなくあらかじめ作られてたシートを使用するため、工期も短く、価格も安く抑えることができる点が最大の魅力です。

デメリットとしては、シートであるため継ぎ目が弱点になる点や複雑な形状には向かない点が挙げられます。また、シートを張る土台の状態が悪いと事前の補修作業が必要になるため費用がかさむこともあります。

シート防水の耐用年数は10〜15年で価格目安は1㎡あたり4,000〜6,000円前後。ウレタン防水よりも低コストで施工が可能です。複雑な形状に向かないので広くて平らな屋上の工事に向いています。

■アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトを用いた「アスファルトシート」と呼ばれる防水シートを貼り付ける工法です。最も歴史が古い工法で、防水工事の中でも随一の高い防水性と耐久性を誇ります。

アスファルト防水は15〜30年と非常に長持ちします。長期間安定した防水性能を発揮するため長い目で見るとコストパフォーマンスが良いこともあるでしょう。

ただし、価格費用は1㎡あたり5,000〜8,000円前後と比較的高め。加えて施工には熟練の技術が必要である点や重量が重いため建物への負担が大きく施工できる場所が限られる点はデメリットです。

デメリットの関係上、一般的な住宅ではあまり採用されることが多くありません。重さに耐えられる頑丈な建物の工事に向いています。

■FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維とポリエステル樹脂を重ね合わせる工法です。防水層となる繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)は薄くて建物への負担が少ない、高い防水性能、複雑な形状にもある程度融通が効くというこれまで解説した工事のいいとこ取りのような性質が魅力的です。

FRP防水の耐用年数は10〜15年ほどで費用目安は1㎡あたり5,000〜8,000円前後とこちらもアスファルト防水と同様に比較的高め。

FRP防水は防水層を形成する素材がプラスチックであるため、紫外線に弱い、伸縮性がないという特有のデメリットがあります。太陽からの紫外線で劣化しやすかったり、建物が振動しやすい木造住宅だとひび割れが起こりやすかったりするので、広い屋上というよりベランダや小さな屋上で、防水性も強度も必要な場所などに向いています。

以下の表は、4つの工法を簡単に比較一覧にしたものです。参考にしてください。

防水工事の比較表

屋上防水工事が必要な劣化のサイン

防水層は年月が経つにつれて少しずつ弱くなり、それに伴って劣化症状が表れます。

まず現れるのはおそらく表面が白っぽくなる「色褪せ」でしょう。防水層を形成する際に防水面を保護するための「トップコート」と呼ばれる塗装を行うのですが、このトップコートが劣化すると白っぽく色褪せてしまいます。

トップコートは約5年ほどで劣化が出始めますので、このトップコートを塗り替えておくと防水層の劣化速度も遅くなり長持ちします。結果的にメンテナンス費用がお得になりますので、トップコートの定期的な塗り替えはおすすめです。

次に起こりうるのは「ひび割れ」です。細かいひび割れであればトップコートの割れがほとんどで防水層にあまり被害がない場合もありますのでトップコートの再塗装でケア可能です。ただ、ひび割れが大きいと防水層や下地にも被害が及んでいる可能性もあります。劣化以外にも地震などの振動で発生する場合もありますので注意しましょう。

さらに劣化が広がると防水層の「剥がれ」「膨れ・破れ」などが起こります。この状態になると防水層に穴が空いているような状態なので注意が必要です。被害箇所が小さいと部分補修で済むケースもありますが、被害が大きいと全体的な防水工事が必要になりそれだけお金もかかってしまうため、早めに対処しましょう。

また、現状問題がなくても排水機能などの要因で屋上に水溜まりができる状態だと防水層の劣化が進みやすく、上記の症状を引き起こしやすくなるため要注意です。大きな問題に発展する前に対処しておきましょう。

上記の症状がなかったとしても、前回の防水工事から10年以上経っている場合は耐用年数の関係で防水機能が弱くなっている可能性があるのでメンテナンスを検討するのをおすすめします。

屋上防水工事が必要な劣化のサイン

建物の状況に合わせた工事を選択することが重要

工事を行う建物の屋上の形状や強度を考えて最適な工事を選択することが重要です。

基本的には軽くて複雑な形状にも対応できる万能タイプのウレタン防水が最初の選択肢に入ってきます。シンプルな形状ならばシート防水のほうが経済的な場合もあるでしょう。

人の出入りが激しかったり屋上に車を入れるような屋上だと高い耐久性が欲しいのでFRP防水やアスファルト防水が候補に上がってきます。

建物の状況と用途を改めて考え、どの工事が一番ぴったりなのかをあらかじめ絞っておけば費用感もある程度頭に入りますし、実際に業者と相談する際もスムーズに進むはずです。屋上防水工事を検討する際はぜひ参考にしてください。

お問い合わせは
こちらから

フリー
ダイヤルでお問い合わせ
メールでお問い合わせ
LINEでお問い合わせ